怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話「座頭の木」

     伝聞昔話「座頭の木」

 

昔、あったずもな。

 うんと雨の降った年です。

 その年は洪水で大変でした。

 川の渡し守が流れてきた流木を拾っていると、良さそうな木が流れてきたのです。

「良い木かと思ったら、なんと可哀想に座頭様の死体でないか」

 渡し守は座頭様の死体を引き上げ、畑に埋めて深く手を合わせたのでした。

 すると、そこから芽が生えてきたのです。

 その芽は大きくなり、隣村でも評判になるほど大きな木になったのでした。

「座頭様が木になった」

 めずらしい大木でしたので、多くの人が見に来たのです。

 

 そして、その木は蕾を持ちました。

 その蕾はとても大きくなり、その大きい蕾は二尺三尺ほどの大きさの、赤青黄色、紫に白と様々な色の大きな花を咲かせたのでした。

 座頭様の木はとても評判になり、渡し守はたいそう儲かったのでした。

「花の中に座頭様がおる」

 座頭様が木に咲いた花の中にいたのでした。

 一つの花に一人の座頭様がおり、それぞれに三味線や太鼓などの楽器を持っていたのです。

 

 やがて風によって花が川に落ちるようになりました。

 落ちた花は川に浮くとそれぞれの楽器を奏で始めたのでした。

 中には、何も芸を持たぬ座頭様もいて、その座頭様は川に浮くことなくずぶりずぶりと沈んでいったのです。

 座頭様たちは美しい音楽を奏でました。

 その音楽にあわせ、人々は踊りました。

 何も芸を持たぬ座頭様は笑顔で手を叩きずぶりずぶりと沈んでいきました。

 その光景はこれまで以上に評判になり、渡し守はたいそう儲かったのです。

 

 座頭の木の花は散り、今度は木に子供たちの欲しがるものが実っていたのです。

 きれいな着物に下駄、前垂れや玩具などがいっぱいに実っていました。

「着物が欲しい」

 子供が木に言いますと、ごぉうと風が吹き着物が子供の手に優しく運ばれてきたのです。

「下駄が欲しい」

「凧が欲しい」

「人形が欲しい」

 子供の声に合わせてごぉうと風が吹き、それぞれ願った子のもとに風が優しく運んだのでした。

 

 これきって、とっぴんぱらりのぷう

 

聞き伝える昔の話でございます

 

ブログチャレンジに一千文字ってあったからやってみた。

でもこれだと本文だけでもまだ八百字だったりしますが。

座頭の木は一番好きな話です。

東北ですかね。

いくつか昔話を書いてみて

この話が一番変化がないです。

桃太郎はいじりやすかったです。

難しいな。

でもこの話が好きだからいいや。

細かい所をちょちょこと変えてみたりしています。

最初と最後に方言入れました。

全体に方言だと文章をいじれないので、最初と最後だけです。

方言全体は読むのがしんどいですよね。

 

 

※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。