怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話「地獄穴」(楽しい民話)

 伝聞昔話「地獄穴」

 

 男は毎日考えていました。

 亡くなった妻のことを考えていました。

 亡くなった妻にどうすれば会えるのか、夢なら会えるだろうか、そのようなことばかり考えていたのです。

 悲しいことに夢であいたいと思っても出てくるのは会ったこともない知らぬ女ばかりでした。

 

 男は漁師でした。

 波の激しい日です。

 男は波に誘われて地獄穴のあるという不気味な島にいたのです。

 男はぼんやりと地獄穴と呼ばれる洞くつに入っていったのです。

 洞窟を進むと急に明るくなりました。

 洞窟の中に村があったのです。

 

 その村は洞窟の中なのにまるで陽の下のように明るかったのでした。

「ここはお前さんの来る所ではない」

 男にお爺さんが話しかけました。

 男はその言葉を聞き帰ろうとした時です、男は妻を見たのです。

 男が妻に話しかけようとすると、お爺さんがとても強い力で男を押したのです。

 男が気付くと自分の家にいました。

 

「夢だったのか」

 男はそうつぶやきました。

 男が外に出ると、

「おぉ元気になったか、船の中で気を失っていたから心配したぞ」

 男はそう話しかけたのでした。

 男は今の言葉で、妻は地獄穴にいると強く思ったのでした。

 男は地獄穴に向かうことにしたのです。

 不思議なことに男が地獄穴のある島に行こうとすると波が男の船を押し返したのでした。

 その波はまるで男を地獄穴に近づけないという強い意志を持っているようでした。

「お願いだ、どうしても妻に会いたいのだ地獄穴に入れてくれ」

 男はそう叫びながら何度も島に向かいましたが、波は男を跳ね返したのでした。

 何度も何度も男は挑戦しました。

 何日もたったある日です。

 男の船が無人で海に浮いているのを同じ村の漁師が見つけたのでした。

 

聞き伝える昔の話でございます 

 

地獄の穴ですが、鬼とか出ません。

遠野物語でも浜で死んだ人が歩いてたりします。

海って死人がいるんですかね。

 

 

※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。