伝聞昔話「蕪婿蕪子」(今昔物語より)
伝聞昔話「蕪婿蕪子」
今は昔の話です。
男が京から東へ下っていく途中、どこかも知らぬ国の里を通っていた時です。
男は女のことが頭から離れなくなりました。
道沿いの垣根の内に畑がありました。
男は馬をおり、畑に入り、蕪を抜き穴を開け、蕪に子種を仕込みました。
男は仕込んだ蕪を垣根の中に投げ捨て、道に戻ったのでした。
その後、畑の主の娘が、
「穴を開け蕪を捨てるなんて罰当たりな、もったいない」
そう言って、娘はその蕪を食べました。
その後、娘の様子がおかしくなり、腹が大きくなりました。
娘の腹は大きくなり妊娠しているようになりました。
父と母は誰の子だと責めましたが、娘には付き合っている相手も這い入った相手もいないようでした。
「穴の開いた変な蕪を食べたからでしょうか」
と娘が言いましたが、父母には娘の言っていることの意味がよく分かりません。
不思議に思っているうちに、娘は男の子を産みました。
皆は神様仏様が授けてくれた子と、その子をごまかしながら育てたのです。
その子は丈夫で賢い子でした。
人々は蕪の神様の子だと陰で言いました。
蕪に穴を開けて食べると子供ができると噂になり、尼様が蕪に穴を開けて食べてみました。
尼様に寺の近くに住む侍にそっくりの子が生まれたそうです。
数年後、男が手下を連れ、京へ上がる途中で村を通りました。
「ある年だ、国へ下る途中でな、蕪に子種を授けた」
男は手下に大きな声で笑いながら語ったのです。
その言葉を娘は聞き、男の所へ行きました。
「私はあなた様の言葉にある蕪を食べ、子供を産みました」
娘は男に泣きながら語ったのです。
「不思議なことを言う。その子を見せてくれ」
男はそう言いました。
男が娘と家に行くと一人の男の子がいました。
その子はまだ幼いですが、利発そうな顔に見えました。
男は娘と子供を何回も見て、
「これも宿世の定めかな、もしよかったら妻にならないか」
男はそう言い、娘を妻に娘の子を自分の子にしたのです。
蕪を間に挟んでも子はできるのです。
おもしろい
聞き伝える昔の話でございます
今昔物語からです。
原題は書けません。
たぶんいい話。
なぜかデュシャンを思い出しました。
今昔物語や日本霊異記はすごい話が多いです。
宇治拾遺物語はうん〇こで今昔物語があれって感じ。
ひどい感想…
あぁ原文は仕込んだじゃなくて
はっきり書いてあります。
※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。