伝聞昔話「蛇の女房」(今昔物語より)
伝聞昔話「蛇の女房」
河内の国、讃良の郡、馬甘に住む長者に一人の娘がいました。
四月のころです。
蚕養のために娘は道端の桑の木に登り、葉を集めていました。
「蛇がいるぞ」
道を歩いていた者が娘に教えました。
娘はその言葉に驚き下を確認しました。
木の根元に大きな蛇がいたのです。
娘は踊るように下りて逃げようとしましたが、蛇に襲われてしまいました。
「あぁ、へびが」
娘は驚きました。
娘の両足の付け根から蛇の体が見えたのです。
「困ったことになってしまった。なんとみっともない姿だろう」
娘はそう言い、両足から垂れている蛇を握りましたが抜けそうにありません。
「これは困った、この姿では生活に大変不便だ。なによりも気持ちが悪い」
娘は恐る恐る蛇を抜こうとしますが動きません。
「思いっきり力をいれてもいいのかしら」
娘はそう言い、悩みました。
そして疲れと自分の姿の悲しさで娘は臥せてしまったのでした。
両親は両足の付け根から蛇をのぞかせ臥せている娘を見つけ、大変悲しみました。
泣いても悩んでも解決はしないので医者を呼びました。
「なんとも珍しい」
医者はそう言うと、臥せっている娘を庭に置きました。
そして、医者は娘のために薬を作りました。
薬は、粟のわら三尺を一束にしたものを三束焼き、それを湯に合わせて三斗取り、三斗が二斗になるまで煮込み、いのししの毛十把をきざんで、その湯に入れ混ぜます。
その薬を蛇にかけます。
効果が薄かったので、蛇の口に入るように娘に注ぎ入れました。
一斗ほど娘に注げば、蛇はたまらんと飛び出てきました。
「蛇が出たぞ」
医者はそう言うと、飛び出した蛇を捕まえ。蛇の頭を切り落としたのでした。
そして娘が目を覚まし立ち上がると、蛇の子供のようなものがぼとりぼとりと五升ばかり娘の両足の付け根から落ちてきたのでした。
「ひどい悪夢のようだった」
娘はそう言って泣き、医者に感謝したのでした。
娘の親も泣きました。
三年後、その娘が両足の付け根から蛇を生やして死んでいるのを人々は見たのでした。
おもしろい
聞き伝える昔の話でございます
どう書くかですごい悩んで、
時計を見て涙がでてくる。
そんな泣ける話です。
今昔物語から
一応
この薬は存在しない薬でしょうきっと。
ってきっとはいらないな
あってたまるかぁ
笑い話でしょうから。
※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。