怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話「猫とかに」(楽しい民話)

  伝聞昔話「猫とかに」

 

 猫がすぅすぅ寝ていました。

「猫さん、猫さんかけくらべをしないかね」

 カニがそう言って、猫の睡眠のじゃまをしました。

「かけっこよりも、お前を煮るか焼くか考える方がいい」

 猫はかにに言いました。

 

 かにはその恐ろしい言葉を気にしないといった顔で、

「かけくらべに勝てば、おらを食えばいい」

 かにの言葉で猫はかけくらべをすることにしたのです。

 

「あの山こえたら地蔵がある。そこに早くついた方が勝ちだ」

 かにの言葉に、

「お前さん、その横歩きでそんな遠くまでいったら、かにの干物になるぞ」

 猫が聞きます。

「かにはみな、千里を飛ぶ仙術が使える。山こえるくらいもんだいないさ」

 かにはそう答えたのでした。

 

 かけくらべが始まり、猫がかけだすと、かにはうまいぐあいに、猫のしっぽにつかまりました。

 ぴゅんぴゅん

 ぴゅんぴゅん

 猫がかけます。

「かけくらべに勝ったら、とちゅうで干物になったかにを食べよう」

 猫がそう言うと。

「猫さん早いね。ついていくだけで、せいいっぱいだ」

 かにの声がしました。

 

 猫はおどろき、かける足を速くしたのです。

 ぴゅんぴゅん

 ぴゅんぴゅん

 猫がかけます。

「猫さん早いね。ついていくだけで、せいいっぱいだ」

 かにの声を聞き、猫はおどろきました。

 

 ぴゅんぴゅん

 ぴゅんぴゅん

 猫はひっしに走り、地蔵のそばまできました。

「猫さん早いね。ついていくだけで、せいいっぱいだ」

 かにの声に猫はおどろきました。

 そして、猫がふりかえったときに、かにはうまいぐあいに地蔵の上にとびのったのでした。

「猫さんおそいね」

 かには楽しそうに猫に言ったのでした。

 

聞き伝える昔の話でございます

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鹿児島のお話。

おかしい、原文が数行だったのに…

さらっといけると思ったのに…

 

猫はその後蟹を食べました。

うそです。

 

 

※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。