怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話「食人蚊」(中国の楽しい民話)

    伝聞昔話「食人蚊」

 

 

 ぶうぅぅん

 ぶうぅぅん

 不快な羽音がします。

 昔々の中国の話です。

 中国には人を食べる大きくて恐ろしい蚊がいました。

 その蚊は口先が一尺五寸あり、体中に毛が生えていて、大きな羽二枚と小さな羽二枚を使って空も陸も自由に移動できたのでした。

 夏になると、その蚊は一晩で一家全員を食べてしまったのです。

 

 ぶうぅぅん

 ぶうぅぅん

 その羽音は恐怖の音でした。

 

 この蚊をどうにか退治したかったのですが、矢を射っても平気だったのでどうすることもできませんでした。

 なので、蚊は好き放題に人を食べて暮らしていたのでした。

 

 ある日の夜です。

 火事になった家がありました。

 人々が必死に消火をしていると、蚊があらわれたのです。

 

「なんということだ、今蚊があらわれるなんて、一家族だけではすまないぞ」

 人々はおびえ、ふるえました。

 ぶうぅぅん

 ぶうぅぅん

 恐ろしい羽音がします。

 

 しかし、蚊はぶぅぅんとどっかへ行ってしまったのです。

「これだけ人がいたのに、蚊がおそわなかったのはなぜだろう」

「もしかしたら蚊は煙が苦手なのではないだろうか」

 人々は話し合い、煙で蚊にたいこうできないか試すことにしたのです。

 

 次の日です。

 かわいたたきぎと、しめったたきぎ。かわいた草と、しめった草を集めて積み上げ、だっこく場に集めて、夜になったら火をつけました。

 蚊はもくもくと上がる煙を見て、ぶうぅぅんと飛び去ったのでした。

 

 その話は広まり、皆がやるようになりました。

 それから、蚊におそわれる人はいなくなったのです。

 ただ、違う問題ができました。

 

「たきぎを一晩中燃やすのはあまりにもお金がかかる。蚊を何とかしないといけない」

 人々は相談しました。

 そして、だっこく場を囲うようにたきぎを積み、真ん中に人形を置き、そして、蚊が来るのを皆が火縄を持って待ち、蚊が来たら、火をつけて煙で動けなくして、焼き殺すことにしたのです。

 

 蚊はもう何日も人を食べてないので、罠にかかりました。

 蚊が人形におそいかかり、血を吸おうとした時です。

 皆が火をつけ、煙で蚊を閉じこめたのです。

 そして、動けなくなった蚊はばちばちと燃える炎で焼き殺されたのでした。

 

 次の日です。

 あちこちの村から蚊の死体を見にきました。

「蚊の周りに小さい蚊がいるぞ。殺さないといけない」

 蚊の周りに小さい蚊を見つけた人たちが叫びました。

「あんな小さい蚊に何ができるでしょう。あんな小さい奴は放っておけばいい」

 その言葉に納得したので、小さい蚊は殺されなかったのです。

 そのため、今私たちはぶうぅぅぅんという音とかゆみに悩まされているのでした。

 

 聞き伝える昔の話でございます

 

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この話は中国の民話です。

人を食う蚊とかで普通は本にのるはず。

普通はこんなマニアックな話のらないとか言わない。

 

 

わざわざこのブログに来て下さったあなたを、私は大切に思います。 

※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。