怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

「枕」

「枕」

 

 

変わった枕を骨董屋で買いました。

夢占いでは殺される夢は生まれ変わりを意味し、悩みごとが解決するいい夢だといます。

夢は個人に与えられた物なので、創作のために夢の日記をつける画家や小説家は多く、ついでに夢占いをする人もいるといいます。

その骨董屋で買った枕は運がよくなる殺される夢が見やすくなるというのです。

殺される夢は買ったその晩から見ることが出来ました。

私は夢の中で磔にされており、のこぎりを持った赤いエプロンをつけた女が私をにやにやと見ていました。そして、その女はのこぎりで私の右腕をぎいこぎいこと切り始めたのです。その痛みはすさまじく、私は汗をまき散らし泣き叫びました。

「まずは右腕」その女は私の切り取られた腕を手に持ち笑いながら言いました。

目が覚めると右腕に違和感がありましたが、右腕が軽くなった気がしました。ただ、右腕がなんかほっそりしている気がします。一週間後にまた夢を見ました。そして、前と同じように左腕を切り取ったのでした。そして、右足、左足と一週間ごとに取り換えられていったのです。左足を切り取られているとき、私は雑に置かれた切り取られた両手と右足、そして、台に置かれた体を見ました。その台にはこれから付けられる左足と、胴体と見覚えがあるようなないような頭が置いてありました。

体を取り換える時は何回切られるのでしょうか。両手両足をまた切られるのでしょうか。あの痛みを4回は耐えられそうもありません。そして、また夢を見ました。

「今日は胴体だから両手両足と頭で5回だね。痛いよ」女は私にそう言ったのでした。

私は病院で目を覚ましました。5週間目を覚まさなかったそうです。私は不思議な夢を見ていました。その夢では私は台に乗っており、私の右手、左手、右足、左足、胴体、頭と順番に磔にされた男の人に変えられていく夢でした。私の右腕は切り取られ、男に私の右腕がつけられたのでした。男の人は切られるときに汗をまき散らし、泣き叫んでいました。

「なじむのに1週間かかるから全部取り換えるのに5週間かかる」赤いエプロンをつけた女性はそう言ったのです。取り換えられた体はこれはいらないからと雑に投げ捨てられました。そして、その男性の頭が投げ捨てられ、私の頭が私の頭に乗っかった時に私は目が覚めたのでした。

 

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文体診断ロゴーン

 

麻生太郎さん、森鴎外さん、海野十三さん。

 

わざわざこのブログに来て下さった貴方を私は勝手に大切に思います。