怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

けろりけろりぱっくんちょ

  けろりけろりぱっくんちょ

 

 けろりけろりぱっくんちょ

 机の上にカエルがいました。

 けろりけろりぱっくんちょ

腹に傷のあるカエルはそう鳴いていました。

 そのカエルが少年の鼻の穴から出てきたことです。

 けろりけろりぱっくんちょ

 それはきのうから始まった話です。

 少年は近くの山に流れる川で大きなカエルを見たのです。

 そのカエルは少年の目に川の主に見えました。

 何を思ったのか少年は近くに転がっていた石を握りカエルに石を投げつけました。

 ぐえっ

 カエルの腹に石が当たりぐえっぐえっと鳴いたのでした。

 少年はまた石を投げました。

 けろりけろりぱっくんちょ

 そう言うとカエルは消えてしまいました。

 けろりけろりぱっくんちょ

 少年は不思議な声をききました。

 顔に違和感があったので顔を川に映してみますと。

 少年の鼻と耳からカエルが出てくるところでした。

 ぽちゃんぽちゃんと顔から出てきたカエルたちは川に飛び込んでいったのです。

 それからです少年の鼻から口から耳からカエルが出るようになったのです。

 そしてそのカエルたちはみな腹に傷がありました。

 少年が朝起きたら布団の上にたくさんのカエルがいました。

 皆腹に傷があったのでした。

 そのカエルたちは、

 けろりけろりぱっくんちょ

 けろりけろりぱっくんちょ

 そう鳴くとカエルたちは家から出て行ったのでした。

 少年は家にいると家の中がカエルだらけになってしまいそうだったので家を出ることにしました。

 迷子のようにふらふらと歩いていますと小石が飛んできたのです。

 けろりけろりぱっくんちょ

 屋根の上にたくさんの腹に傷のあるカエルが小石をもって少年をにらんでいたのです。

 けろりけろりぱっくんちょ

 小石が雨のように少年にふってきました。

 少年は恐ろしくなり必死に逃げたのです。

 気づいたら少年は川にいました。

 あの川にいたのです。

 けろりけろりぱっくんちょ

 そう言いながら腹に傷のあるカエルが同じように腹に傷のあるカエルを飲み込んでいました。

 カエルはカエルを飲み込むたびに大きくなっていったのです。

 けろりけろりぱっくんちょ

 けろりけろりぱっくんちょ

 カエルは一匹一匹と飲み込んでいきまるでクマのように大きくなったのです。

 けろりけろりぱっくんちょ

 けろりけろりぱっくんちょ

 腹に傷のあるカエルは少年をにらみました。

 そして大きく口を開け、

 けろりけろりぱっくんちょ

 けろりけろりぱっくんちょ