怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

首切りみやらび

  首切りみやらび

 

 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。

 はやく

 かねだせ

 おまえさま

 ださなきゃ

 はさみで

 ちょんぎるぞ

 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。

 手をふり、足をふり、髪をふり、くるくるおどります。

 その姿を見た人々はやんややんやと喜びました。

 その歌を聞いていた人たちは変な夢を見ました。

 ちょきんちょきんとされる夢です。

 次の日、その人たちはちょきんとされたような顔で死んでいました。

 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。

 かわいい ひとよ

 ひとよ ひとよ

 かわいい ひとよ

 なにもない

 かねも ゆめも かわいい人形も

 鬼にくわれて なにもない

 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。

 手をふり、足をふり、髪をふり、くるくるおどります。

 その姿を見た人々はやんややんやと喜びました。

 その歌を聞いていた人たちは変な夢を見ました。

 鬼に食われる夢です。

 次の日、その人たちは鬼に食われたような顔で死んでいました。

 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。

 はいよ はいよ

 はいよはい

 ゆさんでぃ まちかいういね

 首切り みやらび

 立っちょんど

 幾人幾人 立っちょやびが

 三人四人 立ちょんど

 何と 何と

 持っちょうが

 鎌ん 刀ん 持っちょんど

 首ぐすぐす

 はいよはいよ

 べるべるべる

 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。

 手をふり、足をふり、髪をふり、くるくるおどります。

 その姿を見た人々はやんややんやと喜びました。

「この歌は何を歌っているの」

 女が少女に聞きました。

「夜になればわかる」

 少女はそう言うとひらひらと飛んで行ったのです。