怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

三枚の絵

  三枚の絵

 

 三人の画家がいました。

 その画家たちは三人で評判のいい人の絵を描く旅をしていたのです。

 名前を、ソウカ、レンク、バトクと言いました。

 皆、習った先生は違いましたがとても評判の良い画家でした。

 形を正確に伝えるために、三人で絵を描き、三枚を一組として絵に残していたのです。

 三人はとても楽しく絵の旅をしていたのです。

 三人はお坊様の所へ行きました。

 お坊様は三人を笑顔でむかえました。

 お坊様は僧服に着替え三人の前にすわりました。

 三人が絵を描こうとした時です。

「本当の顔を教えましょう」

 お坊様がそう言うと、顔がさけ、本当の顔を見せたのです。

 めずらしいことがあるものだと、三人は楽しく絵を描きました。

 ソウカは仏様を描きました。

 レンクは明王を描きました。

 バトクは鬼を描きました。

 皆僧服は同じでしたが、顔が違います。

「素晴らしいですな、見事に描けている」

 お坊様は嬉しそうに言いました。

 その晩です。

 三人は三枚の絵を並べ話し合っていました。

 バトクの描いた鬼の顔が気になります。

「三枚とも顔が違うな」

 ソウカは言いました。

「立派なお坊様でも心に鬼がいるのかな」

 レンクが言いました。

「鬼で人を食っているとかかもな」

 バトクが言いました。

 三人は話し合います。

 お坊様がもし鬼で、三人が寝たら食う気なのならたまりません。

「見た目は仏、人が話せば明王、心は鬼というのはどうだろう」

 バトクが言いました。

「心だけならいいが口も鬼だったら大変だ、私たちも食べられてしまう可能性がある」

 ソウカが言いました。

「お坊様はどうか知らないが、この寺は古くからある寺だ。仏様に祈ってから寝よう」

 バトクの言葉に二人はそのとおりだと思い、

仏様に祈ってから寝ました。

 そしてバトクは祈りながら一枚の絵を仏様の前で描きました。

 三人は夢を見ました。

 白い犬が狸をかみ殺した夢でした。

 次の日、三人は死んでいる大きな牙を持った狸を見たのです。

「我々の絵のうではまだまだだな、狸を仏や鬼に描くようではな」

 バトクは犬の絵をひらひらとさせ、狸を見て笑ったのでした。