怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話「童子丸(安倍ハルアキラ物語)」(横取り民話)

  伝聞昔話「童子丸(安倍ハルアキラ物語)」

 

 

 童子丸という少年がいた。

 その少年の父は貴族だという。母は共に暮らしている葛の葉という狐と暮らしいた。

童子丸。京へ行け」

 カラスが童子丸にそう言った。

 童子丸には動物たちの話が分かるという力があった。

 童子丸はカラスに京へ行くように言われたことを母に伝え、京へと旅立った。

 カラスに京へ行くことを伝えると、光る竹があり、その中に黄金があるからそれを旅の資金にすると良いと教えられた。

 カラスの言う通りに光る竹があり、その中にあった黄金を旅の資金とした。

 途中海を見てみようと童子丸は思った。

 浜では哀れな亀が子供たちにいじめらており、童子丸は黄金で亀を助けた。

 亀は礼がしたいから竜宮城へ来て欲しいと言ったので、亀の背中に乗って海の底にある竜宮城へと行った。

 竜宮城に行くと竜王童子丸を待っていた。

「あなた様は将来力の強い陰陽師となるお方です」

 竜王はそう言うと、童子丸をご馳走でもてなして、ふさわしい恰好をするべきだと良い服をくれた。

 童子丸が京へ向かう途中。

「貴族の娘が蛇に睨まれて困っているから助けると良い」

 カラスが童子丸に伝えた。

 カラスに教えられた家に行くと、たしかに恐ろしい空気に包まれている。

 童子丸は自分なら娘を助けることができると家の者に伝え娘の部屋に入ると、娘は巨大な大蛇に捕らわれていた。

「この大蛇は幻で、屋根裏にいる蛇を退治すればこの娘はすぐに良くなります」

 童子丸は紙をもらい、その紙を鳥の形にして命を与える呪を唱えた。

 その鳥は屋根裏に行き、死んだ蛇をくわえて帰って来た。

 その蛇を殺すと娘は体調がよくなり、童子丸は感謝されたのだった。

 童子丸は京へ行くと安倍ハルアキラと名乗り陰陽師の博士となり、貴族になった。

 そして、寛弘二十一年に人としてやることは終わったと言いどこかへ消えたという。

 安倍ハルアキラの姿を見た者は多いが、皆見たという姿が違う。安倍ハルアキラは人として約八十年を過ごしたが、ずっと若者の姿だという者もあれば八十年老人の姿だったという者もいる。

 

陰陽師 螢火ノ巻 (文春文庫)

 

正確には民話ではないという人もいますが、

昔の話だと有名な人物が物語を奪うという形があります。

安倍晴明

あべは確定ですが、セイメイともハルアキラとも確定してないので、

人によってはハルアキラと呼びます。

今回はハルアキラを使いました。

安倍晴明さんはよく話を奪ったというか、

陰陽師の話は安倍晴明の話に江戸時代になった気がします。

この話も安倍晴明さんの話にするのという話も安倍晴明さんの話になり、

幼少時の童子丸時代には浦島太郎や、聞き耳頭巾という話を童子丸の話として奪ったのです。

なので、陰陽師安倍晴明蘆屋道満が有名なのは、話の主人公が彼らに変えられていったという理由もあります。

陰陽師安倍晴明、剣豪は宮本武蔵と昔話の便利屋として便利に活躍するのです。

 

 

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