伝聞昔話「夢蜂長者」(楽しい民話)
伝聞昔話「夢蜂長者」
二人の男がいた。
一人は若者で、もう一人は老人だった。
二人は馬が合いいっしょに旅をしていた。
ある晩、若者はぶんぶんという音に眠りをじゃまされた。
ぶんぶん
黄金の山に
ぶんぶん
鉢が飛ぶ
鉢はそう歌いながら老人の鼻の穴に入っていった。
朝になり食事をしていると、
「昨日は変な夢を見たよ。鉢になって西にある光る蜜柑の木の下に埋まってある黄金を見ている夢だった」
老人の言葉を若者はこれは本当の夢だ。正夢だと思った。
この老人は信じていないが夢の通りにすれば金持ちになれると思った。
そして、若者は老人と別れて西へ蜜柑の木を目指して歩いて行った。
西へ西へと若者は向かった。
そして、陽の光を反射してきらきらと光る蜜柑がなっている木を見つけた。
「やった、みつけた。これで金持ちだ」
若者は喜んだ。
そして夢中で蜜柑の木の下を掘ると黄金の入った袋が出てきた。
その晩、若者は夢を見た。
黄金が老人の所へ飛んで行く夢を見た。
目が覚めると小さい黄金を一粒だけ残して黄金はどこかへ行ってしまったのだった。
「夢はその人の物だから買えないというわけだろうか、それとも老人から全部夢だったのかな?」
若者は一粒の黄金を見ながら言ったのだった。
そして、老人は夢の通りに黄金が飛んできたと黄金を見て喜んだのだった。
人の魂と縁の深い生き物に蜂と蜻蛉があります。アブもありますが、アブはイメージから省かれやすいですかね。
夢買い物語はけっこうあり、
夢を買いとって権力者や貴族になったという話もあります。
買われたほうはただ悲しい思いをする話になりますが、夢買い物語も教育と絡んでくると夢を買うものは強欲で、その強欲で身を破滅するという話が出てくるのです。
なので、評判の悪い権力者だと夢を奪った悪人だから、この者は破滅したという理由付けになっていたりする時もあります。
破滅まで行かなくてもいいだろうと思い、買った夢ではうまくいかないという形を選びました。
わざわざこのブログに来て下さったあなたを、私は大切に思います。
※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。