怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話・古典

伝聞昔話「酒虫」(聊斎志異「酒精」より)

伝聞昔話「酒虫」 昔々の中国に酒が好きでまるまると太った男がいた。 裕福な家系で、田畑の一部を自分の酒のために使っていた。 その男の所に一人の道士がやってきた。 「あなたは悪いものに取り憑かれている」 道士は男にそう言った。 「私は何にも憑かれ…

伝聞昔話「ちんちん小袴」(小泉八雲より)

伝聞昔話「ちんちん小袴」 日本では家の床に、いぐさを編んで作った畳という敷物を敷きます。 畳はいぐさがしっかり詰められて編んでいるので、小刀の先が刺さる程度のすきましかありません。 畳は一年に一度取り換えられるので、とても清潔です。 日本人は…

伝聞昔話「後の千金」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「後の千金」 荘子は腹が減っていました。 昔、唐土に暮らす荘子は、家がひどく貧しく、今日の食料もなかったのです。 荘子は隣に住む監河候に今日の分の粟を乞うたのです。

伝聞昔話「悪霊左府」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「悪霊左府」 御堂関白殿は法成寺を建立し、毎日御堂へ可愛がっていた白い犬と共に参っていました。 ある日、門を入ろうとしたときに、この犬が前をふさぐようにほえます。 「どうした、中へ入れないではないか」 君が車からおりて入ろうとすれば、…

伝聞昔話「金の精」(雨月物語・貧福論より)

伝聞昔話「金の精」 岡左内という禄が高く、誉れが高い武士がいました。 ただ、左内は金への執着が強く、金を部屋中に広げて楽しむなどの、評判の良いとは言えない趣味を持っていました。 左内の部下に金を貯め、黄金一枚隠し持っていた男がいました。 左内…

伝聞昔話「シャリホツと外道たちの術くらべ」(今昔物語より)

伝聞昔話「シャリホツと外道たちの術くらべ」 今は昔、天竺の話です。 釈迦の弟子シャリホツ尊者は仏教徒ではない異教徒の子でした。 シャリホツはお腹にいるころから知恵があふれ、出産まで生まれるのをまてず、母のお腹を破って出てこようとしたので、出て…

伝聞昔話「袴垂保昌に会う」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「袴垂保昌に会う」 袴垂というたいそうな盗賊がいました。 それは十月ごろでした。 衣が欲しくなった袴垂は、いい衣がないかと探していました。 人々が夢の中で笑ったり泣いたりしているころです。 一言で言えば夜です。 朧月の下、衣をたくさん着…

雨月物語まとめと140字小説とURLの再利用?

なんかこのURLにグーグルからアクセスがあるので、再利用できるのか試験です。 雨月物語のまとめの記事になります。 仮名暦のリンクは下に。 artart1982.hatenablog.com おまけで、Twitterに投稿した140字小説。 140字小説「横綱」 横綱の趣味は川に行…

伝聞昔話「犬頭糸」(今昔物語より)

伝聞昔話「犬頭糸」 三河の国に二人の妻に養蚕をさせ、儲けていた郡司がいました。 なぜか本妻の蚕が全部死んでしまいました。 郡司は本妻が何か悪いことをした祟りだと思い、本妻から離れたのでした。 郡司が通わなくなり、本妻は二人の従事と共に貧しく心…

伝聞昔話「毘沙門天の文」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「毘沙門天の文の話」 越前国に伊良緑野世恒という者がいました。 伊良は毘沙門天に一途に祈っていました。 祈っている間は何も食べなかったので、伊良はとても腹が減っていました。 「一途に飯も忘れ祈っていたので、腹が減ってしまいました。どう…

伝聞昔話「イリセートサットの怪物」(小泉八雲より)

伝聞昔話「イリセートサットの怪物」 そこは神々が最後の仕上げを忘れた地域です。 そこでは黒い海と鉛色の霧以外は、全ての物が白かったのです。 そこは陸と海の境目があいまいでした。 氷の頂は太さを気ままに変え、気ままに動き、絶滅した生き物の記録の…

伝聞昔話「聖滝川の聖」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「聖滝川の聖」 聖滝川の奥、柴でできた庵に暮らす聖がいました。 その聖は、水が欲しい時は水瓶を川に飛ばしてくんでいました。 一途に修行をした聖でした。 しかし、年月が経つほど、自分より優れた聖はいないと思うようになりました。

伝聞昔話「夢童」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「夢童」 堀川太政大臣兼道公という人が重い流行り病にかかりました。 名の通った僧は皆祈祷しましたが、殿の体は良くなりませんでした。 極楽寺はその殿が作った寺です。 混乱しているからでしょうか、極楽寺の者は誰も祈祷に呼ばれなかったのです。

伝聞昔話「竜宮の乙女(浦島太郎)」(小泉八雲より)

伝聞昔話「竜宮の乙女」 それは、四百七十九年の話でございます。 今の神奈川県あたりの住之江の岸から浦島太郎という漁師が漁に出ました。 それは夏の日でした。 浦島太郎は亀を釣りました。 「亀は海の竜王様の使いとされて、千年も万年も生きるという。亀…

伝聞昔話「死体のり」(小泉八雲より)

伝聞昔話「死体のり」 体はつめたく、心臓は止まり、硬くなった体がその女が死んでいることを伝えていました。 家に女の死体がありました。 男にうらぎられた恨みで死んだ女です。 だれも埋葬しようと言いませんでした。 女は死体であるという体でしたが、そ…

伝聞昔話「老人外術を使う」(今昔物語より)

伝聞昔話「老人外術を使う」 七月ばかりのころです。 大和の国より多くの馬に瓜を乗せた下衆たちが京へ上っていました。 宇治の北、成らぬ柿の木と呼ばれる期の木陰で瓜の籠をおろし休んでいました。 籠から自分たちのための瓜を出し、食べたのでした。 する…

伝聞昔話「平茸守」(今昔物語より)

伝聞昔話「平茸守」 昔、信濃守藤原陳忠という者がいました。 国の務めを終えて帰京する途中、御坂の途中で馬が足を踏み外し、守が谷に落ちてしまったのです。 谷は深く、谷の底は背の高い木の先の方のはるか下にあるようでした。

伝聞昔話「寸白守の話」(今昔物語より)

伝聞昔話「寸白守の話」 腹の中に寸白を持った女がいました。 その女は子を産みました。 その子はとても頭が良く、出世をしていき、官職を得て信濃守となったのです。

伝聞昔話・アナトールの母の語った物語「七理靴」(世界の名作集より)

伝聞昔話・アナトールの母の語った物語「七理靴」 母はよく、 「私には想像力がない」 そう私に言っていました。 母は、想像力とは千夜一夜物語のシェヘラザードがシャフリヤール王に語った夢物語を考えることだと思っていたのです。 えぇ、母は間違っていま…

伝聞昔話「興義夢応の鯉魚を描く」(雨月物語より)

伝聞昔話「夢応の鯉魚を描く」 延長のころです。 三井寺に興義という僧がいました。 興義は画の名人として有名でした。

伝言昔話「化け蜘蛛」(小泉八雲より)

伝言昔話「化け蜘蛛」 古い書物に化け蜘蛛の話が書いてあります。 化け蜘蛛は昔いたのだとか、今もまだいるのだとか、様々に言います。 「化け蜘蛛の話をしよう」 男が語り始めました。

伝言昔話「河童の子」(遠野物語より)

伝言昔話「河童の子」 河童を婿にしたものは河童の子を産みます。 河童の子は殺さなければなりません。 河童の子が生まれたら、切り刻み、1升樽に入れて、土中に埋めます。 河童の子は醜悪なので、一目でわかります。

青頭巾三分割(雨月物語より)

雨月物語青頭巾まとめて 話は独立しています。 artart1982.hatenablog.com artart1982.hatenablog.com artart1982.hatenablog.com 別に三つはしっかりくっついてないんですけどね。 雨月物語の青頭巾をもとに三つ作ったのです。 うまく分割できる話でした。 …

伝聞昔話「菊花の剣」(雨月物語・菊花の約より)

伝聞昔話「菊花の剣」 九月九日、菊の日。 赤穴宗右衛門の命日で自ら腹を切った日です。 丈部左門は赤穴宗右衛門と義兄弟です。

伝聞昔話「菊花の約束」(雨月物語・菊花の約より)

伝聞昔話「菊花の約束」 九月九日、菊の日。 播磨の国加古の駅に丈部左門という清貧の博士がいました。 左門は菊の日に訪ねてくると約束をした赤穴宗右衛門を待っていました。

伝聞昔話「玄象の琵琶」(今昔物語より)

伝聞昔話「玄象の琵琶」 村上天皇の時代です。 玄象という天皇家に伝わる琵琶がなくなってしまったのです。 「玄象を私の代で失くしてしまうとは」 天皇はたいそう嘆きました。

伝聞昔話「晴明を試みる僧」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「晴明を試みる僧」 安倍晴明の家に美しい二人の童を連れた老いた法師がやってきました。「何か用ですかな」 晴明が法師に聞きますと、「播磨の国から来ました。陰陽道を習いたいという志があり、この道において優れている晴明殿に少々でも習いたい…

伝聞昔話「秦始皇帝天竺より自ら来る僧禁獄」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「秦始皇帝天竺より自ら来る僧禁獄」 秦の始皇帝の時代の話です。 天竺から僧が渡ってきました。「お前は何者だ、何をしに来たのだ」 帝はその僧を怪しんだのです。「私は釈迦牟尼仏の御弟子です。遥か西天より渡ってきたのです」 僧が答えました。

伝聞昔話「観音帷」(宇治拾遺物語より)

伝聞昔話「観音帷又は清水寺御帳賜る女」 ひたすらに清水寺にお参りしている女がいました。 その女には頼る者がなく、人生にご利益もなかったので、観音を恨みながら願をかけていたのです。 もしどんな不幸や不満があったのかを女に聞けば、たっぷり一晩語っ…

伝聞昔話「愛罰鬼」(雨月物語・青頭巾の下)

伝聞昔話「愛罰鬼」 一途な阿闍梨がいました。 その阿闍梨は美童を食いました。 愛していたから美童の死体を食いました。 美童のただれた肉をすすり、 むき出しとなった骨を舐め、 生前と同じようにまぐわいをし、 食いつくし、 阿闍梨は鬼になりました。