2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧
140字小説「ポトフ(日常は戦場)」 ポトフとは洋風煮込みである。野菜とベーコンを煮込むシンプルな料理だ。問題はどう煮込むか。母は塩だけでと言う。それでは味気ない。コンソメを入れるべきと言ったら、喧嘩になった。私と母が喧嘩をしていると、父が…
「廃病院」 春が終わり始めるころに、会社に研修を終えた新人という頼りなさを若さで必死に支えている花が咲きます。 彼の勤めるタクシー会社も新人が一つ二つと懸命に様々な風に耐えながら咲いていました。 「それでは田山病院に向かってください」そんな新…
headlines.yahoo.co.jp 新文学賞はスウェーデンのジャーナリストや作家らが中心となって新たに設立した団体「ニューアカデミー」が選考。10月12日に受賞者を発表するという。 今年はノーベル賞が発表できないから今年限定で作るそうです。 他に最終候補に残…
詩会「カステラ」北原白秋 カステラの縁の渋さよな。 褐色の渋さよな。 粉のこぼれが手について、手についてね、 ほろほろとほろほろと、たよりない眼が泣かるる。 ほんに、何とせう、 赤い夕日に、うしろ向いて ひとり植ゑた石竹。 NHKで石竹が私の誕生花だ…
いい国住みたい貧福論は君主論 どんな名刀でも千人を相手に出来ないが、金の徳ならば天下も従う。 雨月物語の貧福論の主人公岡左内はそのように考える倹約の武士です。 刀一本と天下を従わせるお金って一緒にしちゃだめじゃないと思う方もいるでしょう。 細…
「ハローさん」 友人とハローさんという降霊術をやることになりました。 やり方は、赤い糸を巻き付けたパンに赤ワインを染み込ませて、そのパンをぬいぐるみに入れるのです。 甦らせたい人がいればその人の体の一部を入れたら甦るそうです。 甦るのならそれ…
伝聞昔話「子捨て」 その百姓はとても貧しかったのです。 自分たちが食べていくだけでいっぱいでした。 女房が子供を産みました。 捨てました。 女房と自分の子を川に捨てました。 貧しかったので、女房が産むたびに川に捨てました。
「黄昏の人」 黄昏時にその人がやってきます。 昼と夜が混ざる時、色々と迷っている子供に、本当の家にこないかい。本当の国にこないかいと、その人は誘うのです。 「君は賢いから知っているだろう。こんなつまらない世界が君の世界でないことを。私と一緒に…
「鬼と猟師と犬」 山で年老いた猟師が鬼の子供を見つけました。その鬼の子供は猟犬にふるえ、たすけてくださいと繰り返しました。猟師は鬼の子供に子供は殺さないのが猟師だと言いました。鬼の子供はその猟師の後をついて行きました。 猟師は邪魔するなよと…
「枕」 変わった枕を骨董屋で買いました。 夢占いでは殺される夢は生まれ変わりを意味し、悩みごとが解決するいい夢だといます。 夢は個人に与えられた物なので、創作のために夢の日記をつける画家や小説家は多く、ついでに夢占いをする人もいるといいます。…
「河童の姿」 私は河童の姿を見たという老人に話を聞くためにある町まで行きました。 老人の家は寂しい所にあり、人よりも妖怪の方が多そうだなと思いました。 老人に話を聞くと、 「河童な、テレビ見てて思ったんだ。水泳の池江って女の子いるだろう。あの…
今週のお題「#平成最後の夏」 地球の人に飽きたから、何かに会いたくて百物語を書きました。 嘘です。百物語を書いたのは本当です。 不思議ネットさんで百物語が公開されています。 不思議.net world-fusigi.net コメントを受け止めて、これからに生かしてい…
お題「わたしの黒歴史」 百物語は気楽なレジャーの一つです。 気軽に楽しまれている方が多いでしょう。 多いわけがないですね。 artart1982.hatenablog.com だらだらと雑に百物語に書いてきたので、最後にまとめたいと思います。 百物語は夜に百本の蝋燭を一…
140字小説「狩人」 若者は狩人になりました。けものを守る人と書いて狩人と言います。 狩人は山を守り伝えていく存在だと祖父の言葉を思い出したからです。宝石のように光を反射する木の葉を見て、生命の美しさを見せびらかす動物たちを見て、彼は狩人に…
140字小説「トースト(日常は戦場)」 母が変な知識を得てきた。トーストは片面焼きが良いという。ホイルを片面につけて片面を保護している。普通でいいじゃないかパンぐらい。目玉焼きもそうだ。ターンオーバーという両面焼き?今はフランス風といって蒸…
お題「好きな作家」 夏らしく読書感想文です。 本は「死者の奢り」大江健三郎です。 “死者たちは、濃褐色の液に浸って、腕を絡みあい、頭を押し付けあって、ぎっしり浮かび、また半ば沈みかかっている。” 大江健三郎の死者の奢りはこのように始まります。 何…
降霊術の礼儀 百物語に振り回された平成最後の夏。 降霊術だと、百物語やひとりかくれんぼなどがあります。 ひとりかくれんぼの人形の中身 ひとりかくれんぼは、人形に米を入れます。米には魂があると言われており、おにぎりなどの御備えは米が魂に縁が深い…
お題「わたしの黒歴史」 呪術としての百物語 夏らしいことがしたいと思い、花火は火傷するかもしれません、ならば百物語です。 百本の蝋燭を用意して、百個の不可思議な話を一話ずつ読むたびに蝋燭を消していく。 花火のようなことはできない、でも何かした…
百個の不可思議な物語、百物語は何かを呼ぶと言います。 そんな言葉を信じて百本の蝋燭を灯してみたいと思うのです。 そして、その蝋燭を一つずつ消してみたいと思うのです。 1本目「降霊術」 降霊術というものがあります。 ひとりかくれんぼ、ひとりおしゃ…
神奈川育ちなので神奈川のことを書いてもいいですが、 父が東北の人間なので、東北で。 東北には様々なものがあります。 秋田県の鷹ノ巣には世界一の大太鼓があります。 で、なまはげの話でも。 なまはげは なぐごはいねがーと言いながら包丁を振り回す鬼の…
140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」 母親と喧嘩した。麦茶のボトルを1リットルか3リットルかでもめたのだ。私は3リットル欲しかったのだ。 猫の欠伸がつきたころ。1リットル2本という答えになった。そして、事件が起きる。開店セールでオ…
140字小説「猫のおもてなし」 私は家の前に立っていました。そこの家には金の文字で、「猫のおもてなし」と書いてあったのです。私が入ると、飼い猫のトコがいました。 「おいしいキャットフードです」トコは言いました。私がそれを無言で見ていると、「…
詩会「あかんぼ」北原白秋 昨日うまれたあかんぼを、 その眼を、指を、ちんぽこを、 真夏真昼の醜さに 憎さも憎く睨む時。 何かうしろに来る音に はつと恐れてわななきぬ。 『そのあかんぼを食べたし。』と 黒い女猫がそつと寄る。 わざわざこのブログに来て…
近所で湘風音楽堂という番組の公開収録があったんですよ。 近所の駅で公開収録ですよ。 J:COMさん、凄いなって所で公開収録です。 何故あそこ選んだのでしょうか? 番組は北原照久さんとテミヤンさんの湘風音楽堂という番組でした。 公開収録やる場所じゃな…
伝聞昔話「悪霊左府」 御堂関白殿は法成寺を建立し、毎日御堂へ可愛がっていた白い犬と共に参っていました。 ある日、門を入ろうとしたときに、この犬が前をふさぐようにほえます。 「どうした、中へ入れないではないか」 君が車からおりて入ろうとすれば、…
今年の5月の話です。 水曜日の日光は定休日のお店が多く、人の数も少なく落ち着いていました。 日光は山の落ちついている空気が似合う街ですので、お目当ての店がなければ水曜日は落ち着いているので分かっていれば選択肢としていいと思います。 日光金谷ホ…
百物語とは何か ※下に百物語のリンク入れました。 百物語は百個の蝋燭を一つ話を終わるたびに消して、 百個物語が終わると何かが話すとか話さないとか、降霊術の一種です。 で、百物語は色々ありますが、考えなくても分かると思いますが。 とても大変です。…
140字小説「田作りの次郎長」 暇だったので田作りの向きを揃えてやる。皆バラバラでは悲しかろうと思ったのだ。ヒレがかけているやつには補助するものをそばに置く。頑張れよと声をかける。 食べるのですがね。目付きが悪いものは次郎長と名付け反対を向…
今週のお題「わたしのインターネット歴」 ほとんどの人が実際に触れるのはWindows2000からですかね。 わたしも2000からですかね。 2000年前後だと思いでは原宿にホルマリン漬け売ってるお店あったなとか、けっこうエグメの作家さんが自殺しまく…
詩会「空に真っ赤な」北原白秋 空に真っ赤な雲のいろ。 玻璃に真っ赤な酒のいろ。 なんでこの身が悲しかろ。 空に真っ赤な雲のいろ。 小川未明さんの記憶をなくす真っ赤なサフランの酒が印象的な、 砂漠の町とサフラン酒を思い出しました。 わざわざこのブロ…