怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

140字小説

140字小説「風鳥歌」

風にのって自由に飛ぶ鳥たちがいった。向かい風なんてくだらない思い込みだ。いつだって、ただ風が吹いているだけだ。向かい風に見える風のなかに、弱くとも必ず追い風が吹いている。 鳥は飛ぶ。風にのって。 このブログを見てくれてありがとうです。

140字小説「ハロウィンのお客様」

今週のお題「ハロウィン」 140字小説「ハロウィンのお客様」 ハロウィンの日、お菓子を用意して待っていますと書いた看板を用意する。 すると、トリックオアトリート!と子どもに化けた狐、狸、猫がやってくるという。 だからハロウィンのお菓子はバター…

140字小説「100円の表彰状」

140字小説「100円の表彰状」 五歳の彼は欲しい物は母親にねだる物でした。 欲しい欲しいと叫べば4割の確率で手に入る物です。欲しいものが手に入る確率は値段で変動するのですが、彼にはそれはまだ分かりません。 母親の手伝いをして手に入れた百円玉…

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」 母親と喧嘩した。麦茶のボトルを1リットルか3リットルかでもめたのだ。私は3リットル欲しかったのだ。 猫の欠伸がつきたころ。1リットル2本という答えになった。そして、事件が起きる。開店セールでオ…

140字小説「ミネストローネ」

140字小説「ミネストローネ」 ミネストローネには細かく切った野菜がいい。 細かく切った野菜をしっかり煮込み、 それをスプーンに乗せてわしわしと食べるのだ。 スープは汁ではない。 スープはおかずである。 化け猫になった猫が眠る前に語った話である…

140字小説「猫の温度計」

140字小説「猫の温度計」 猫の温度計。 寒いと丸くなる。 もっと寒いと布団の中に隠れる。 温かくなると、猫の温度計はぐいんと伸びる。 大の字に伸びる。 それより熱くなると、ひんやりとした所に逃げる。 規則的にお腹が減るので、 鳩時計のように、飯…

140字小説「ポトフ(日常は戦場)」

140字小説「ポトフ(日常は戦場)」 ポトフとは洋風煮込みである。野菜とベーコンを煮込むシンプルな料理だ。問題はどう煮込むか。母は塩だけでと言う。それでは味気ない。コンソメを入れるべきと言ったら、喧嘩になった。私と母が喧嘩をしていると、父が…

140字小説「狩人」

140字小説「狩人」 若者は狩人になりました。けものを守る人と書いて狩人と言います。 狩人は山を守り伝えていく存在だと祖父の言葉を思い出したからです。宝石のように光を反射する木の葉を見て、生命の美しさを見せびらかす動物たちを見て、彼は狩人に…

140字小説「トースト(日常は戦場)」

140字小説「トースト(日常は戦場)」 母が変な知識を得てきた。トーストは片面焼きが良いという。ホイルを片面につけて片面を保護している。普通でいいじゃないかパンぐらい。目玉焼きもそうだ。ターンオーバーという両面焼き?今はフランス風といって蒸…

140字小説「猫のおもてなし」

140字小説「猫のおもてなし」 私は家の前に立っていました。そこの家には金の文字で、「猫のおもてなし」と書いてあったのです。私が入ると、飼い猫のトコがいました。 「おいしいキャットフードです」トコは言いました。私がそれを無言で見ていると、「…

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」 母親と喧嘩した。麦茶のボトルを1リットルか3リットルかでもめたのだ。私は3リットル欲しかったのだ。 猫の欠伸がつきたころ。1リットル2本という答えになった。そして、事件が起きる。開店セールでオ…

140字小説「田作りの次郎長」

140字小説「田作りの次郎長」 暇だったので田作りの向きを揃えてやる。皆バラバラでは悲しかろうと思ったのだ。ヒレがかけているやつには補助するものをそばに置く。頑張れよと声をかける。 食べるのですがね。目付きが悪いものは次郎長と名付け反対を向…

140字小説「ちか(生)」

140字小説「ちか(生)」 ちか(生)をスーパーで買った。寒かろと金の衣をつけてやる。簡単に言えば天ぷらにする。あちあちと音を立てて、野暮ったい衣が美しい金の衣に変わっていく。 スープに泳がせて食べれば、ちか(生)は往生するだろう。西方浄土…

140字怪談「五人天狗」

140字怪談「五人天狗」 山を歩くと細長い人が歩いていた。そんなふらふらしていると手で押してしまうぞと言うと、その人みたいなものは五匹の狸になって山の奥へと入っていった。 そして、お許しをといって3枚の木の葉が私の足元に置かれていた。 意味が…

140字怪談「付喪神」

140字怪談「付喪神」 付喪神という物に魂の宿った神様がいる。基本は復讐する神だが、様々な物があり、当然その物の中には名人の使った楽器もある。名人の使った琴や尺八は海外で人気だという。 私はそんなセロニアス・モンクのピアノを探している。ブリ…

140字怪談「たぬき」

140字怪談「たぬき」 山で一休みしていると、狸が一匹やってきた。 「カチカチ山など下らない話のために、狸の地位が低下している」 狸は私にそう言った。 「狸の地位を上げる運動に加わってもらいたいのだ」 狸はそう言うと、木の葉と半分の油揚げを私に…

140字怪談「月食」今晩7/28の4時半に皆既月食です。

140字怪談「月食」 月食の日に猫の戦争があると聞いたので、猫の戦争を止めるために削り節を持って散歩に出かけた。 月食が始まるころ、猫達が公園に集まってきた。猫たちは二手に分かれた。そして、牛乳派とヨーグルト派に分かれて議論を始めた。 削り節…

140字小説「なま女房と化け猫」

140字小説「なま女房と化け猫」 なま女房の仕事は化け猫の世話でした。「化け猫さん、顔に毛が生えていると情が薄いとは本当ですか」化け猫は女房の顔じっとみる。「女房さんもうっすら顔に毛が生えています」 化け猫がいいます。「化け猫さんは今日ご飯…

140字小説「彼女の右足」

140字小説「彼女の右足」 好きな子がいた。その子とは縁がないらしく、どう頑張っても結ばれない。 あまりにも可哀想だというので、その子の右足をもらった。 足ならば一緒に出かけることが出来るという優しさらしい。 その足はよく食べ、よく飲み、よく…

140字怪談「みのむし」

140字怪談「みのむし」 蓑虫は鬼の子です。鬼に捨てられた哀れな子です。 人食う親の罪なのか、人食う蓑虫の明日の罪なのか。 哀れな衣を着て人を見るとヒトクサイヒトクサイと鳴きます。 もしヒトクサイヒトクサイと鳴く蓑虫をみたら潰しましょう。 鬼に…

140字怪談「らじお」

140字怪談「らじお」 私はラジオが好きです。 その日は夜中までラジオを聞いていました。 眠くなったのでラジオを消して寝ようと思い消しました。 ラジオは消えませんでした。 故障かなと思ったら「8月3日」そう言うとラジオはははははと笑ったのです。…

140字小説「横綱」

140字小説「横綱」 横綱の趣味は川に行くことです。 子供だった時、少年相撲で優勝しました。その次の日に小さな河童の子に相撲で投げられたのです。 横綱になったらまた相撲をしよう、河童は言いました。 川に行くと叫びます。横綱になったぞと。そして…

140字怪談「まがいもの」

140字怪談「まがいもの」 山には河童がいる。山には天狗がいる。 どちらも山の神である。 たまに山を歩いていると、甲羅を背負った鳥みたいな河童にも天狗にもなれなかった奴をみることがある。 神になれなかったのだ。 目を合わせるとおまえおまえと叫ぶ…

140字怪談「お狐様」

140字怪談「お狐様」 山にある寺で狐にあった。 「昔は酒に厚揚げがおいしかった。ねぎをかけたら竹虎。 大根おろしで雪虎となる。ただ飽きてきた」 狐は哀れな声で言う。 「チーズケーキは良いな、あれなら百年後も悪くならないだろう」 狐はそう言うと…

140字小説「生まれ変わったらベンガルでした」

140字小説「生まれ変わったらベンガル猫でした」 あの日は嫌な天気だった。 トラックがふってきたのだ。 雨のようにトラックがふってきた。 そして私は猫に生まれ変わった。 美しいベンガルだ。私はまるくなって寝た。 起きると、サバトラが寄ってきた。 …

140字怪談「電柱」

140字怪談「電柱」 電柱1本植えると、化け物10匹いなくなります。 10本で100匹がいなくなるのです。 化け物のいない国のために、電柱はたくさん植えられました。 化け物も数が少なくなりました。 河童もだいぶ減りました。 いつからでしょうか。 …

雨月物語まとめと140字小説とURLの再利用?

なんかこのURLにグーグルからアクセスがあるので、再利用できるのか試験です。 雨月物語のまとめの記事になります。 仮名暦のリンクは下に。 artart1982.hatenablog.com おまけで、Twitterに投稿した140字小説。 140字小説「横綱」 横綱の趣味は川に行…

140字小説「地獄日記」

「地獄日記」 紫式部は地獄に落ちました。 二枚舌の作家は地獄で暮らすのです。 あの人も地獄でしょう。 政治家も夢物語すら語りませんが地獄でしょう。 そんなことを考えていたら、 猫が飯だと言いました。 にゃあが欠伸に負けました。 猫とのんびり天国も…

140字小説「往生伝」

「往生伝」 往生伝によると、ずっと極楽の方を向けば、 極楽に行けるという。 その僧は体をひねり極楽から一時も目を離さなかったという。 ずっと見つめればいつか届くのだろうか。 ずっと見つめるとはどういうことか。 飯をくれと鳴き手をふる猫を見て、 そ…

140字小説「兎さんと亀さん」

140字小説「兎さんと亀さん」 兎は駆けくらべに勝った亀に行った。「私は警官で、昨日も犯罪者に付き合って徹夜だった。疲れているのを知っていたのでしょう」兎は亀を非難した。「君の相棒は僕の親せきで、一晩中寝ていたと言っていたよ」亀は兎を非難し…