怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

自由記述帖

尼様の木

尼様の木 穀断ちという、お米や麦などの穀物を食べない修行をしている美しい尼様がいました。 ある晩です。 尼様の前に白い亀にのった七つの顔を持つ仏様があらわれました。 仏様は心地の良い光や花を空中におどらせていました。 「あなたのような姿の仏様は…

わが子人形

わが子人形 男には妻と子供がいました。 男は出世がしたかったので、妻と子をおいて、生まれた小さな島を出たのです。 一人で勝手に海をこえていった男を妻はうらみました。子は男をのろいました。 妻は子に似た人形を作り、その人形のお腹にあなたの子です…

おに雪

おに雪 おに雪という美しい尼がいました。 その尼はある村で一晩男の家にとまりました。 「あなたはとても美しい、もし、できるのならば私の妻になってくれませんか。一人では何かと不便なのです。助けると思って妻になっていただきたいのです」 男はおに雪…

きばかんのん

きばかんのん 猟師は山で見つけた千手観音の手の数をぼけぇと数えていました。 その猟師はとても腕がよく、共に猟に出ている猟犬もとても良い犬だったので猟はいつも成功するため獲物を保管する小屋はいつもいっぱいでした、なのでいつも暇だったのです。 そ…

おにぼうず

おにぼうず 荒れた小さいお寺が山の上にありました。 そこの寺はお坊様がすぐにいなくなる寺でした。 山には鬼がいるからその鬼に食われたのだろうと人々は言っていました。 その寺には今は誰もいなかったので一人のお坊様がやって来たのです。 月がきれいな…

子供の顔のにわとり

子供の顔のにわとり ヤイチというひどい山賊がいました。 ヤイチは山に来た物を殺し、物をうばったのです。 殺された者の中には子供もたくさんいました。 ヤイチは頭が良かったので、うばった金で商売を始めたのでした。 商売は上手くいきました。 そして孫…

仙人香

仙人香 竜のよだれのお香で龍涎香といいます。 龍涎香は鯨が消化しきれなかったイカなどが石となり、それを出したものです。 そのようなものなので、龍涎香は鯨が出したものを拾うのがふつうです。 とても貴重なお香です。 お香を売るその店にはたくさんの龍…

おいしいね君

おいしいね君 けんたはニンジンが大嫌いです。 机には けんたへ 母さんは今日用事があるので、 ハンバーグを作っておいたから食べてください。 ニンジンもちゃんと食べてください。 母より と書かれた手紙がありました。 けんたはニンジンとにらみあいをして…

天狗娘

「天狗娘」 天狗がおりました。 その天狗は村の娘と約束をしていました。 村を悪い事から守るという約束をしていたのです。 その村はいつも悪い病気や嵐などの人の力ではどうしようもない事に悩んでいました。 村を守るためには力が必要です。天狗だからと何…

首切りみやらび

首切りみやらび 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。 はやく かねだせ おまえさま ださなきゃ はさみで ちょんぎるぞ 美しい少女が長い髪をふりふり歌を歌います。 手をふり、足をふり、髪をふり、くるくるおどります。 その姿を見た人々はやんやや…

けろりけろりぱっくんちょ

けろりけろりぱっくんちょ けろりけろりぱっくんちょ 机の上にカエルがいました。 けろりけろりぱっくんちょ 腹に傷のあるカエルはそう鳴いていました。 そのカエルが少年の鼻の穴から出てきたことです。 けろりけろりぱっくんちょ それはきのうから始まった…

140字小説「100円の表彰状」

140字小説「100円の表彰状」 五歳の彼は欲しい物は母親にねだる物でした。 欲しい欲しいと叫べば4割の確率で手に入る物です。欲しいものが手に入る確率は値段で変動するのですが、彼にはそれはまだ分かりません。 母親の手伝いをして手に入れた百円玉…

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」 母親と喧嘩した。麦茶のボトルを1リットルか3リットルかでもめたのだ。私は3リットル欲しかったのだ。 猫の欠伸がつきたころ。1リットル2本という答えになった。そして、事件が起きる。開店セールでオ…

140字小説「ミネストローネ」

140字小説「ミネストローネ」 ミネストローネには細かく切った野菜がいい。 細かく切った野菜をしっかり煮込み、 それをスプーンに乗せてわしわしと食べるのだ。 スープは汁ではない。 スープはおかずである。 化け猫になった猫が眠る前に語った話である…

140字小説「猫の温度計」

140字小説「猫の温度計」 猫の温度計。 寒いと丸くなる。 もっと寒いと布団の中に隠れる。 温かくなると、猫の温度計はぐいんと伸びる。 大の字に伸びる。 それより熱くなると、ひんやりとした所に逃げる。 規則的にお腹が減るので、 鳩時計のように、飯…

140字小説「ポトフ(日常は戦場)」

140字小説「ポトフ(日常は戦場)」 ポトフとは洋風煮込みである。野菜とベーコンを煮込むシンプルな料理だ。問題はどう煮込むか。母は塩だけでと言う。それでは味気ない。コンソメを入れるべきと言ったら、喧嘩になった。私と母が喧嘩をしていると、父が…

「廃病院」

「廃病院」 春が終わり始めるころに、会社に研修を終えた新人という頼りなさを若さで必死に支えている花が咲きます。 彼の勤めるタクシー会社も新人が一つ二つと懸命に様々な風に耐えながら咲いていました。 「それでは田山病院に向かってください」そんな新…

「ハローさん」

「ハローさん」 友人とハローさんという降霊術をやることになりました。 やり方は、赤い糸を巻き付けたパンに赤ワインを染み込ませて、そのパンをぬいぐるみに入れるのです。 甦らせたい人がいればその人の体の一部を入れたら甦るそうです。 甦るのならそれ…

「黄昏の人」

「黄昏の人」 黄昏時にその人がやってきます。 昼と夜が混ざる時、色々と迷っている子供に、本当の家にこないかい。本当の国にこないかいと、その人は誘うのです。 「君は賢いから知っているだろう。こんなつまらない世界が君の世界でないことを。私と一緒に…

「鬼と猟師と犬」

「鬼と猟師と犬」 山で年老いた猟師が鬼の子供を見つけました。その鬼の子供は猟犬にふるえ、たすけてくださいと繰り返しました。猟師は鬼の子供に子供は殺さないのが猟師だと言いました。鬼の子供はその猟師の後をついて行きました。 猟師は邪魔するなよと…

「枕」

「枕」 変わった枕を骨董屋で買いました。 夢占いでは殺される夢は生まれ変わりを意味し、悩みごとが解決するいい夢だといます。 夢は個人に与えられた物なので、創作のために夢の日記をつける画家や小説家は多く、ついでに夢占いをする人もいるといいます。…

「河童の姿」

「河童の姿」 私は河童の姿を見たという老人に話を聞くためにある町まで行きました。 老人の家は寂しい所にあり、人よりも妖怪の方が多そうだなと思いました。 老人に話を聞くと、 「河童な、テレビ見てて思ったんだ。水泳の池江って女の子いるだろう。あの…

140字小説「狩人」

140字小説「狩人」 若者は狩人になりました。けものを守る人と書いて狩人と言います。 狩人は山を守り伝えていく存在だと祖父の言葉を思い出したからです。宝石のように光を反射する木の葉を見て、生命の美しさを見せびらかす動物たちを見て、彼は狩人に…

140字小説「トースト(日常は戦場)」

140字小説「トースト(日常は戦場)」 母が変な知識を得てきた。トーストは片面焼きが良いという。ホイルを片面につけて片面を保護している。普通でいいじゃないかパンぐらい。目玉焼きもそうだ。ターンオーバーという両面焼き?今はフランス風といって蒸…

140字小説「猫のおもてなし」

140字小説「猫のおもてなし」 私は家の前に立っていました。そこの家には金の文字で、「猫のおもてなし」と書いてあったのです。私が入ると、飼い猫のトコがいました。 「おいしいキャットフードです」トコは言いました。私がそれを無言で見ていると、「…

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」

140字小説「麦茶のボトル戦争(日常は戦場)」 母親と喧嘩した。麦茶のボトルを1リットルか3リットルかでもめたのだ。私は3リットル欲しかったのだ。 猫の欠伸がつきたころ。1リットル2本という答えになった。そして、事件が起きる。開店セールでオ…

140字小説「田作りの次郎長」

140字小説「田作りの次郎長」 暇だったので田作りの向きを揃えてやる。皆バラバラでは悲しかろうと思ったのだ。ヒレがかけているやつには補助するものをそばに置く。頑張れよと声をかける。 食べるのですがね。目付きが悪いものは次郎長と名付け反対を向…

怪談「夜道の同行者」

怪談「夜道の同行者」 暗い暗い、夜道を歩いていると、帰り道を一緒にしようとする者たちがいます。 送り狼という妖怪がいます。その妖怪は夜道を歩いていると、 「帰り道を送ってやろう。もしこけたら食べてやろう」 そう言ってついてきます。 転ばなければ…

怪談「漆の箱」

怪談「漆の箱」 それは蒸し暑い夜中の話です。 男は変なものを見ました。それは人に見えるのですが、何かがおかしいのです。着物を着たおかっぱ頭の女のようなものが、漆の箱を持って、ゆらんゆらん、ふらんふらんと歩いています。 そのものは男に近づいてき…

140字小説「ちか(生)」

140字小説「ちか(生)」 ちか(生)をスーパーで買った。寒かろと金の衣をつけてやる。簡単に言えば天ぷらにする。あちあちと音を立てて、野暮ったい衣が美しい金の衣に変わっていく。 スープに泳がせて食べれば、ちか(生)は往生するだろう。西方浄土…