怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

詩会

詩会「男について」滝口雅子

詩会「男について」滝口雅子 男は知つている しやつきりのびた女の 二本の脚の間で 一つの花が

詩会「洗面器」金子光晴

詩会「洗面器」金子光晴 (僕は長年のあひだ、洗面器というふうつはは、僕たちが顔や手を洗ふのに湯、水を入れるものばかりと思つてゐた。ところが、爪哇人たちは、それに羊や、魚や、鶏や果実などを煮込んだカレー汁をなみなみとたたへて、花咲く合歓木の木…

詩会「世界の構造」粕谷栄市

詩会「世界の構造」粕谷栄市 私は、「世界の構造」と言う書物を愛読している。もうずっと以前、田舎町の古物屋で、柄のとれた火桶と一緒に買わされたものだ。 ぼろぼろの表紙の分厚い本で、作者も、出版された所も判らない。唯その活字の形から、大体百年位…

詩会「桃の節句に次女に訓示」辻征夫

詩会「桃の節句に次女に訓示」辻征夫 なくときは くちあいて はんかちもって なきなさい こどもながらによういがいいと ほめるおじさん いるかもしれない ぼくはべつだんほめないけどね ねむるときは めをとじて ちゃんといきして ねむりなさい こどもながら…

詩会「青梅が黄熱する」伊藤比呂美

詩会「青梅が黄熱する」伊藤比呂美 はんもする湿地帯の植物。りょうてでは把握 できない量。把握できない感情 欲求 希望へ! なんという湿気 足指のまたにまで入りこみ 一足ごとにぎしぎしと鳴

詩会「山のあなた」作・カルル・ブッセ 訳・上田敏

詩会「山のあなた」作・カルル・ブッセ 訳・上田敏 山のあなたの空遠く 「幸」住むと人のいう。

詩会「笑いの歌」作・ウィリアム・ブレイク 訳・吉田甲子太郎

詩会「笑いの歌」作・ウィリアム・ブレイク 訳・吉田甲子太郎 緑の森がよろこびの声で笑い 波立つ小川が笑いながら走ってゆく、 空気までが私たちの愉快な常談で笑い 緑の丘がその声で笑いだす。

詩会「売春処女プアプアが家庭的アイウエオを行う」鈴木志郎康

詩会「売春処女プアプアが家庭的アイウエオを行う」鈴木志郎康 先ずは妻が歩いている 股さかれて 気がふれているのかバスセンターよ(註1) 髪毛は夏向きにショートカットする ズボンもショートカットする 男根もショートカットすればいいわ それでは詩はせ…

詩会「顔」松下育男

詩会「顔」松下育男 こいびとの顔を見た ひふがあって 裂けたり でっぱったりで にんげんとしては美しいが いきものとしてはきもちわるい

詩会「練習問題」阪田寛夫

詩会「練習問題」阪田寛夫 「ぼく」は主語です 「つよい」は述語です ぼくは つよい ぼくは すばらしい そうじゃないからつらい

詩会「歌」新川和江

詩会「歌」新川和江 はじめての子を持ったとき 女のくちびるから ひとりでに洩れだす歌は この世でいちばん優しい歌だ

詩会「弔詞」石垣りん

詩会「弔詞」石垣りん 職場新聞に掲載された一〇五名の戦没者名簿に寄せて ここに書かれた一つの名前から、ひとりの人が立ち上がる ああ あなたでしたね。 あなたも死んだのでしたね。

深夜の詩会「小さな娘が思ったこと」茨木のり子

深夜の詩会「小さな娘が思ったこと」茨木のり子 小さな娘が思ったこと 人の奥さんの肩はなぜあんなに匂うのだろう 木犀みたいに

深夜の詩会「曼殊沙華」北原白秋

深夜の詩会「曼殊沙華」 北原白秋 GONSHAN. GONSHAN. 何処へ行く。 赤い、お墓の曼殊沙華、 曼殊沙華、 けふも手折りに来たわいな。