怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

詩会

詩会「カステラ」北原白秋

詩会「カステラ」北原白秋 カステラの縁の渋さよな。 褐色の渋さよな。 粉のこぼれが手について、手についてね、 ほろほろとほろほろと、たよりない眼が泣かるる。 ほんに、何とせう、 赤い夕日に、うしろ向いて ひとり植ゑた石竹。 NHKで石竹が私の誕生花だ…

詩会「あかんぼ」北原白秋

詩会「あかんぼ」北原白秋 昨日うまれたあかんぼを、 その眼を、指を、ちんぽこを、 真夏真昼の醜さに 憎さも憎く睨む時。 何かうしろに来る音に はつと恐れてわななきぬ。 『そのあかんぼを食べたし。』と 黒い女猫がそつと寄る。 わざわざこのブログに来て…

詩会「空に真っ赤な」北原白秋

詩会「空に真っ赤な」北原白秋 空に真っ赤な雲のいろ。 玻璃に真っ赤な酒のいろ。 なんでこの身が悲しかろ。 空に真っ赤な雲のいろ。 小川未明さんの記憶をなくす真っ赤なサフランの酒が印象的な、 砂漠の町とサフラン酒を思い出しました。 わざわざこのブロ…

詩会「誠之助の死」与謝野寛

詩会「誠之助の死」与謝野寛 大石誠之助は死にました、 いい気味な、 機械に挟まれて死にました。 人の名前に誠之助は沢山ある、 然し、然し、 わたしの友達の誠之助は唯一人。

詩会「洗面器」金子光晴

詩会「洗面器」金子光晴 (僕は長年のあひだ、洗面器というふうつはは、僕たちが顔や手を洗ふのに湯、水を入れるものばかりと思つてゐた。ところが、爪哇人たちは、それに羊や、魚や、鶏や果実などを煮込んだカレー汁をなみなみとたたへて、花咲く合歓木の木…

詩会「山のあなた」作・カルル・ブッセ 訳・上田敏

詩会「山のあなた」作・カルル・ブッセ 訳・上田敏 山のあなたの空遠く 「幸」住むと人のいう。

詩会「笑いの歌」作・ウィリアム・ブレイク 訳・吉田甲子太郎

詩会「笑いの歌」作・ウィリアム・ブレイク 訳・吉田甲子太郎 緑の森がよろこびの声で笑い 波立つ小川が笑いながら走ってゆく、 空気までが私たちの愉快な常談で笑い 緑の丘がその声で笑いだす。

深夜の詩会「小さな娘が思ったこと」茨木のり子

深夜の詩会「小さな娘が思ったこと」茨木のり子 小さな娘が思ったこと 人の奥さんの肩はなぜあんなに匂うのだろう 木犀みたいに

深夜の詩会「曼殊沙華」北原白秋

深夜の詩会「曼殊沙華」 北原白秋 GONSHAN. GONSHAN. 何処へ行く。 赤い、お墓の曼殊沙華、 曼殊沙華、 けふも手折りに来たわいな。