怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話・民話

伝聞昔話「酒虫」(聊斎志異「酒精」より)

伝聞昔話「酒虫」 昔々の中国に酒が好きでまるまると太った男がいた。 裕福な家系で、田畑の一部を自分の酒のために使っていた。 その男の所に一人の道士がやってきた。 「あなたは悪いものに取り憑かれている」 道士は男にそう言った。 「私は何にも憑かれ…

伝聞昔話「童子丸(安倍ハルアキラ物語)」(横取り民話)

伝聞昔話「童子丸(安倍ハルアキラ物語)」 童子丸という少年がいた。 その少年の父は貴族だという。母は共に暮らしている葛の葉という狐と暮らしいた。 「童子丸。京へ行け」 カラスが童子丸にそう言った。 童子丸には動物たちの話が分かるという力があった…

伝聞昔話「夢蜂長者」(楽しい民話)

伝聞昔話「夢蜂長者」 二人の男がいた。 一人は若者で、もう一人は老人だった。 二人は馬が合いいっしょに旅をしていた。 ある晩、若者はぶんぶんという音に眠りをじゃまされた。 ぶんぶん 黄金の山に ぶんぶん 鉢が飛ぶ 鉢はそう歌いながら老人の鼻の穴に入…

伝聞昔話「金の蔵糞の蔵」(楽しい民話)

伝聞昔話「金の蔵糞の蔵」 お爺さんとお婆さんは夢を見た。 「お前さんたちが神社の帰りに立派な子供と巡り合うだろう」 神様はお爺さんとお婆さんに言った。 お爺さんとお婆さんさんには子供がなかったので何回も神様に子供ができるようにお願いをしていた…

伝聞昔話「うつぼ舟」(楽しい民話)

伝聞昔話「うつぼ舟」 ぷぅ たった一つのおなら。 それが彼女の運命を変えた。 「主人の前でおならをするなどけしからん」 オユキはおならをしたから主人にうつぼ舟に入れられ、海に流されたのだ。 捨てる神あれば拾う神ありというように、海はオユキを見捨…

伝聞昔話「はまぐり女房」(楽しい民話)

伝聞昔話「はまぐり女房」 タスケは腕の良い猟師である。 そして人が良いとみなが言った。 人が良いのかようりょうが少し悪いのか分からないが、タスケを嫌うものは少ない。 その日、タスケが漁をしていると、大きなはまぐりがかかった。 不思議とみりょくを…

伝聞昔話「ちゅうちゅうどんぶり」(眠らない子への民話)

伝聞昔話「ちゅうちゅうどんぶり」 東の島のネズミたちは困っていた。食べるものがないのである。 西の島なら食べるものがあるだろうと考え、大勢で船に乗って西の島を目指したのだった。 西の島のネズミたちは悲しんでいた。食べるものがなかったのである。…

伝聞昔話「かちかち鳥」(楽しい民話)

伝聞昔話「かちかち鳥」 かわいそうなかわいそうな熊と悪い兎の話。 のそりのそりとその熊は動く。 どんぱちな熊である。 たっぷりかせいだ枝をその熊はせおって山を下りていた。 「くまさんくまさん。あなたは力持ちだから私もついでに運んでおくれ」 白兎…

伝聞昔話「タバコになった娘」(中国の楽しい民話)

伝聞昔話「タバコになった娘」 昔の中国の山東省のお話です。 ナンションという青年とイエイエという娘がいました。 二人は一目で思い思われる仲になりました。 ですが、ナンションとイエイエは家柄のつりあいが取れなかったので、結婚することはできません…

伝聞昔話「食人蚊」(中国の楽しい民話)

伝聞昔話「食人蚊」 ぶうぅぅん ぶうぅぅん 不快な羽音がします。 昔々の中国の話です。 中国には人を食べる大きくて恐ろしい蚊がいました。 その蚊は口先が一尺五寸あり、体中に毛が生えていて、大きな羽二枚と小さな羽二枚を使って空も陸も自由に移動でき…

伝聞昔話「犬頭糸」(今昔物語より)

伝聞昔話「犬頭糸」 三河の国に二人の妻に養蚕をさせ、儲けていた郡司がいました。 なぜか本妻の蚕が全部死んでしまいました。 郡司は本妻が何か悪いことをした祟りだと思い、本妻から離れたのでした。 郡司が通わなくなり、本妻は二人の従事と共に貧しく心…

伝聞昔話「死体のり」(小泉八雲より)

伝聞昔話「死体のり」 体はつめたく、心臓は止まり、硬くなった体がその女が死んでいることを伝えていました。 家に女の死体がありました。 男にうらぎられた恨みで死んだ女です。 だれも埋葬しようと言いませんでした。 女は死体であるという体でしたが、そ…

伝聞昔話「ゴンゲサマ」(遠野物語より)

伝聞昔話「ゴンゲサマ」 ゴンゲサマは神楽舞の組毎に一つずつある、木彫りの像です。 獅子頭に似ていますが、少し違います。 いまだにご利益があります。 新張の八幡杜の神楽組のゴンゲサマと、土渕村五日市の神楽組のゴンゲサマは争ったことがあります。

伝聞昔話「日の本一のダメ太郎」(江戸時代の滑稽話より)

伝聞昔話「日の本一のダメ太郎」 昔、阿呆がおりました。 その阿呆は桃太郎を読んでその気になりました。 さっそく団子屋に行き、阿呆はきび団子を作らせました。 その団子は三つの団子が串にささっておりました。 「串にささっていたら使えない、串にささな…

伝聞昔話・アナトールの母の語った物語「七理靴」(世界の名作集より)

伝聞昔話・アナトールの母の語った物語「七理靴」 母はよく、 「私には想像力がない」 そう私に言っていました。 母は、想像力とは千夜一夜物語のシェヘラザードがシャフリヤール王に語った夢物語を考えることだと思っていたのです。 えぇ、母は間違っていま…

伝聞昔話「レッシングのたとえばなし」(名作集より)

伝聞昔話「レッシングのたとえばなし」 馬と牛 勇ましい馬がその勇ましさを見せつけます。 その勇ましい馬にとくいげな少年がまたがっています。 その姿を牛がなげきました。 「なんという、なさけない姿だ。そのような何もしらぬ、しらぬことをほこる子供に…

伝言昔話「化け蜘蛛」(小泉八雲より)

伝言昔話「化け蜘蛛」 古い書物に化け蜘蛛の話が書いてあります。 化け蜘蛛は昔いたのだとか、今もまだいるのだとか、様々に言います。 「化け蜘蛛の話をしよう」 男が語り始めました。

伝言昔話「河童の子」(遠野物語より)

伝言昔話「河童の子」 河童を婿にしたものは河童の子を産みます。 河童の子は殺さなければなりません。 河童の子が生まれたら、切り刻み、1升樽に入れて、土中に埋めます。 河童の子は醜悪なので、一目でわかります。

伝聞昔話「猫とかに」(楽しい民話)

伝聞昔話「猫とかに」 猫がすぅすぅ寝ていました。 「猫さん、猫さんかけくらべをしないかね」 カニがそう言って、猫の睡眠のじゃまをしました。 「かけっこよりも、お前を煮るか焼くか考える方がいい」 猫はかにに言いました。

伝聞昔話「三毛猫の経立」(楽しい民話)

伝聞昔話「三毛猫の経立」 昔の人は言いました。 猫に踊りをおぼえさせると化けると。 とても長生きした三毛という名の三毛猫がいました。 その猫はお婆さんとお爺さんと一緒に暮らしていました。 「猫は十二年生きれば化け猫になるという、お前さんは十二年…

伝聞昔話「力太郎」(楽しい民話)

伝聞昔話「力太郎の話」 汚い婆様と汚い爺様がいました。 長者の家で金持ちでしたので二人は良い屋敷に住んでいました。 村人はその屋敷をごみ屋敷と呼んでいました。 二人には子供がいませんでした。 二人は子供がとても欲しかったのです。 そして二人は自…

伝聞昔話「桃太郎」(楽しい民話)

伝聞昔話「桃太郎」 お爺さんとお婆さんは夢を見ました。 「お前さんたちにとても強い子供を与えよう。その子供を桃の汁で育てるとよい」 何かが言っている夢でした。 お爺さんとお婆さんはずっと子供が欲しかったので、その夢を神様の夢と、とても喜んだの…

伝聞昔話「ちょうふく山のやまんば」(楽しい民話)

伝聞昔話「ちょうふく山のやまんば」 とても気持ちのいい月夜です。 どこから来たのか大きな雨雲がもうみき村の上ににやってきて、大きな嵐となりました。 ややこみした ちょうふく山の山姥 ややこみした 餅ついてあげねば うま ひと 食ってしもうぞ ちょう…

伝聞昔話「地獄穴」(楽しい民話)

伝聞昔話「地獄穴」 男は毎日考えていました。 亡くなった妻のことを考えていました。 亡くなった妻にどうすれば会えるのか、夢なら会えるだろうか、そのようなことばかり考えていたのです。 悲しいことに夢であいたいと思っても出てくるのは会ったこともな…

伝聞昔話「座頭の木」

伝聞昔話「座頭の木」 昔、あったずもな。 うんと雨の降った年です。 その年は洪水で大変でした。 川の渡し守が流れてきた流木を拾っていると、良さそうな木が流れてきたのです。 「良い木かと思ったら、なんと可哀想に座頭様の死体でないか」 渡し守は座頭…