怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話「三毛猫の経立」(楽しい民話)

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  伝聞昔話「三毛猫の経立」

 

 昔の人は言いました。

 猫に踊りをおぼえさせると化けると。

 とても長生きした三毛という名の三毛猫がいました。

 その猫はお婆さんとお爺さんと一緒に暮らしていました。

「猫は十二年生きれば化け猫になるという、お前さんは十二年生きたかね、最初から大人だったから年齢が分からんね」

 お婆さんが三毛に聞きました。

 三毛はあくびしました。

 

 

 ある晩の事です。

 お爺さんが寄り合いで出ていて、お婆さんは一人でした。

 ゆっくりゆっくりと三毛が帰ってきました。

「三毛帰ってきたか、昨日からいなかったから心配したぞ。今まんま作ってやるな」

 お婆さんが言いますと、

「まんまいらねぇ」

 三毛が答えました。

「そうか、いらねえか。って三毛お前さん話すのかい」

 お婆さんは驚きました。

 

「お前さんなして人の言葉が話せる」

 お嗚さんが聞きます。

「昨夜な、やっと経立の霊力を授かってな、言葉や力を授かったのだよ。これまでの礼に歌い踊ろうかな」

 そう言うと三毛は、

 おでぇる おでるても

 ぜってぇなも おでぇ ねぇ

 じゃじゃもえね はんて

 お入れんせ 

 これちょっと きまぁよ

 あやおしょすだや

  あやおしょすだや

 と一寸きまを歌い踊ったのです。

 

「経立なんて化け物になったと言うから驚いたが、見事だなあ」

 お婆さんはそう言って、三毛の踊りに喜びました。

 そして、お爺さんが帰ってきました。

 

 お婆さんは何があったか話しました。

「経立って歳を重ねた獣がなる化け物か、そうか、お前さんはよう長生きしたんだな」

 お爺さんは話を聞いて驚き感心しました。

「お爺さんとお婆さん以外では話さないからな、言うなよ」

 三毛は二人に牙を見せて言いました。

 お爺さんお婆さんは三毛と幸福に暮らしました。

 三毛はお爺さんを看取り、お婆さんを看取ると、どこかへ行ってしまったそうです。

 猫に踊りを教えると経立になるそうです。

 

 どっとはらい

 

聞き伝える昔の話でございます 

 

経立と書いてふったちです。

本来は話せることはだまってろ話したら殺すと、猫がお婆さんを脅し、

お爺さんに話したお婆さんを、猫が殺します。

昔の話ですからね。

猫はそんなことをしないって知らなかったんでしょう。

しょうがないです。

猫はそんなことしないのにね。

猫みたいな虎を描く時代ですもの。

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※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。