怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

「黄昏の人」

「黄昏の人」

 

黄昏時にその人がやってきます。

昼と夜が混ざる時、色々と迷っている子供に、本当の家にこないかい。本当の国にこないかいと、その人は誘うのです。

「君は賢いから知っているだろう。こんなつまらない世界が君の世界でないことを。私と一緒に正しい君の世界へ行こうじゃないか」

その人は言います。子供にやさしく語るのです。

本当の世界と彼が言った、無責任な夢の国の話を。

責任とは地に付くための重力です。その国は無責任で無重力のふわふわとした国。

もちろんそんな国はありません。

黄昏時にその人と手をつないだ子供。その人と手をつないだ昼の子供は、その人と一緒に夜の国へ行きます。昼の国から夜の国へと行くのです。

その子は夜の住人になるのです。

怖い怖い夜の国の住人に。

 

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文体診断ロゴーン

 

和辻哲郎さん、北原白秋さん、徳富蘆花さん。

 

わざわざこのブログに来て下さった貴方を私は勝手に大切に思います。