怪談「徒然草子」

徒然なるままに、きいぼうどと心にまかせて、古典狂の怪談童話創作家の結果的にここだけの怪しいかもしれない話

伝聞昔話「シャリホツと外道たちの術くらべ」(今昔物語より)

  伝聞昔話「シャリホツと外道たちの術くらべ」

 

 今は昔、天竺の話です。

 釈迦の弟子シャリホツ尊者は仏教徒ではない異教徒の子でした。

 シャリホツはお腹にいるころから知恵があふれ、出産まで生まれるのをまてず、母のお腹を破って出てこようとしたので、出てこないように、シャリホツの母は鉄の帯をしめて出産まで過ごしたのでした。

 

 シャリホツは異教徒の家で育ちましたが、仏の弟子のメショウ比丘に四諦の説法を聞き、釈迦の弟子となり、声聞四果の初果を得て、仏のもと七日でアラカンカを得て、悟りを得たのでした。

 そのシャリホツに大智外道、神通外道、韋随外道を頭とした外道たちはしっとしたのです。

 

 外道たちはシャリホツと勝軍王という大王の前で術比べをすることになったのです。

 その勝負は、シャリホツは一人、外道たちは数無量という大勢で行われました。

 

 シャリホツはわらわらといる外道たちを見て、

「立派な数だが、仏弟子である私の相手をするには名前のある数字では足りないぞ」

 シャリホツはそう笑いました。

 ただ相手が多すぎるので、反応もいまいちで、シャリホツの言葉をつたない伝言のように伝えられていきます。

 

 そして、伝言があやまったのでしょう。

「しっかり飯は食べたわ」

 という大声と、殴られたのでしょう。言い合う声が聞こえた気がしました。

 

 シャリホツが苦笑いをしていると、シャリホツの頭上に大木があらわれました。

 その大木をみて、シャリホツはビランという大風をおこして、その大木を飛ばしました。

 

 外道たちは洪水をおこしました。

 シャリホツは象を出して、その洪水を飲ませたのです。

 

 外道たちはシャリホツの頭上に大きな山を出しました。

 シャリホツは金剛力士を呼び、その山をくだいたのです。

 

 外道たちが青龍を呼べば、シャリホツはガルーダを呼び跳ね返し、外道が牛の大軍を出せば、シャリホツは獅子の大軍で撃退します。

 

「これが最後だ力を合わせろ」

 外道たちは心を一つにします。

 

 そして、外道たちは大夜叉を出したのです。

 大夜叉の姿はとても恐ろしかったのですが、シャリホツはほほえんでいます。

 そして、シャリホツは毘沙門天を呼びました。

 毘沙門天は大夜叉を降伏させ、シャリホツの勝ちとなったのでした。

 このそうぜつな戦いは天竺中に伝わり、仏の力偉大なりと皆は言ったのでした。

 

 聞き伝える昔の話でございます

 

 

今昔物語より。

珍しい派手なお話です。

知恵があるから早く生まれようとお母さんのお腹破るって、

仏弟子怖いですね。

 

 

わざわざこのブログに来て下さったあなたを、私は大切に思います。  

※基本的に聞き伝えるという形で、大筋は変えずに思うままに書いております。