伝聞昔話
伝聞昔話「腫物女」 典薬頭で腕の良い医師がいました。 ある日、この頭の家に女性の入った車が入ってきました。 「あなた様はどちら様ですか」 頭が聞いても何も答えず、車は入ってきます。
伝聞昔話・アナトールの母の語った物語「七理靴」 母はよく、 「私には想像力がない」 そう私に言っていました。 母は、想像力とは千夜一夜物語のシェヘラザードがシャフリヤール王に語った夢物語を考えることだと思っていたのです。 えぇ、母は間違っていま…
伝聞昔話「夢応の鯉魚を描く」 延長のころです。 三井寺に興義という僧がいました。 興義は画の名人として有名でした。
伝聞昔話「レッシングのたとえばなし」 馬と牛 勇ましい馬がその勇ましさを見せつけます。 その勇ましい馬にとくいげな少年がまたがっています。 その姿を牛がなげきました。 「なんという、なさけない姿だ。そのような何もしらぬ、しらぬことをほこる子供に…
伝言昔話「化け蜘蛛」 古い書物に化け蜘蛛の話が書いてあります。 化け蜘蛛は昔いたのだとか、今もまだいるのだとか、様々に言います。 「化け蜘蛛の話をしよう」 男が語り始めました。
伝言昔話「河童の子」 河童を婿にしたものは河童の子を産みます。 河童の子は殺さなければなりません。 河童の子が生まれたら、切り刻み、1升樽に入れて、土中に埋めます。 河童の子は醜悪なので、一目でわかります。
伝聞昔話「小藤太婿におどらされたる」 源大納言定房の家臣に小藤太という侍がいました。 小藤太は主の政務を執っており、その手腕で屋敷は三倍にも四倍にも広がったのでした。 娘も小藤太と同じ主人に女官として仕えていました。 その娘の所へ良家の息子が…
雨月物語青頭巾まとめて 話は独立しています。 artart1982.hatenablog.com artart1982.hatenablog.com artart1982.hatenablog.com 別に三つはしっかりくっついてないんですけどね。 雨月物語の青頭巾をもとに三つ作ったのです。 うまく分割できる話でした。 …
伝聞昔話「猫とかに」 猫がすぅすぅ寝ていました。 「猫さん、猫さんかけくらべをしないかね」 カニがそう言って、猫の睡眠のじゃまをしました。 「かけっこよりも、お前を煮るか焼くか考える方がいい」 猫はかにに言いました。
伝聞昔話「蛇の女房」 河内の国、讃良の郡、馬甘に住む長者に一人の娘がいました。 四月のころです。 蚕養のために娘は道端の桑の木に登り、葉を集めていました。 「蛇がいるぞ」 道を歩いていた者が娘に教えました。
伝聞昔話「菊花の剣」 九月九日、菊の日。 赤穴宗右衛門の命日で自ら腹を切った日です。 丈部左門は赤穴宗右衛門と義兄弟です。
伝聞昔話「菊花の約束」 九月九日、菊の日。 播磨の国加古の駅に丈部左門という清貧の博士がいました。 左門は菊の日に訪ねてくると約束をした赤穴宗右衛門を待っていました。
伝聞昔話「玄象の琵琶」 村上天皇の時代です。 玄象という天皇家に伝わる琵琶がなくなってしまったのです。 「玄象を私の代で失くしてしまうとは」 天皇はたいそう嘆きました。
伝聞昔話「晴明を試みる僧」 安倍晴明の家に美しい二人の童を連れた老いた法師がやってきました。「何か用ですかな」 晴明が法師に聞きますと、「播磨の国から来ました。陰陽道を習いたいという志があり、この道において優れている晴明殿に少々でも習いたい…
伝聞昔話「蛇女房と坊さん」 妻子のある坊さんが寺で昼寝をしていました。 その坊さんを蛇がじぃと見ていました。 蛇は坊さんの両足の付け根にある物をじぃと見ていました。
伝聞昔話「秦始皇帝天竺より自ら来る僧禁獄」 秦の始皇帝の時代の話です。 天竺から僧が渡ってきました。「お前は何者だ、何をしに来たのだ」 帝はその僧を怪しんだのです。「私は釈迦牟尼仏の御弟子です。遥か西天より渡ってきたのです」 僧が答えました。
伝聞昔話「仮名暦あつらへたる」 昔、なま女房がおりました。 その女は苦しんでいました。 尻を押さえ苦しんでいました。 始まりは、女が同じ屋敷に住む僧にもらった紙に仮名書きの暦を頼んだからです。
伝聞昔話「観音帷又は清水寺御帳賜る女」 ひたすらに清水寺にお参りしている女がいました。 その女には頼る者がなく、人生にご利益もなかったので、観音を恨みながら願をかけていたのです。 もしどんな不幸や不満があったのかを女に聞けば、たっぷり一晩語っ…
伝聞昔話「小便女と蛇」 夏のころです。 童女は困っていました。 数時間ほど前、童女の仕えている女が小便をするから、そこで見張っていろと言って築垣に行きました。 そして、女は築垣に小便をする姿勢のまま動かなくなったのです。
伝聞昔話「愛罰鬼」 一途な阿闍梨がいました。 その阿闍梨は美童を食いました。 愛していたから美童の死体を食いました。 美童のただれた肉をすすり、 むき出しとなった骨を舐め、 生前と同じようにまぐわいをし、 食いつくし、 阿闍梨は鬼になりました。
伝聞昔話「多田新発」 鹿は身を投げ出すように逃げていました。 多田新発の弓から逃げていたのです。 多田新発は多田満仲の部下です。 評判の悪い部下です。 命で遊ぶことに溺れていました。
伝聞昔話「鬼指南」 人は生きながら鬼になる者がいます。 仏の広大さを理解せず、おのれの欲にまかせるままこの世を終わり、愛欲邪念の業障に握られて、生きていた時の形や、鬼や蛇になって祟りをなすことがあります。 快庵は男に鬼とはどのような物かと語っ…
伝聞昔話「蕪婿蕪子」 今は昔の話です。 男が京から東へ下っていく途中、どこかも知らぬ国の里を通っていた時です。 男は女のことが頭から離れなくなりました。 道沿いの垣根の内に畑がありました。 男は馬をおり、畑に入り、蕪を抜き穴を開け、蕪に子種を仕…
伝聞昔話「三毛猫の経立」 昔の人は言いました。 猫に踊りをおぼえさせると化けると。 とても長生きした三毛という名の三毛猫がいました。 その猫はお婆さんとお爺さんと一緒に暮らしていました。 「猫は十二年生きれば化け猫になるという、お前さんは十二年…
伝聞昔話「美童食阿闍梨」 これから不思議な話をいたしましょう。 美童と阿闍梨の恐ろしくも悲しい話でございます。 美童を愛し食った阿闍梨の話でございます。
伝聞昔話「狂惑の法師」 昔の話です。 中納言師時という者がいました。 ある日、中納言の屋敷に真っ黒染めの不動袈裟という袈裟をかけ、無患子の大きな数珠を首から下げた聖が入ってきたのです。
伝聞昔話「力太郎の話」 汚い婆様と汚い爺様がいました。 長者の家で金持ちでしたので二人は良い屋敷に住んでいました。 村人はその屋敷をごみ屋敷と呼んでいました。 二人には子供がいませんでした。 二人は子供がとても欲しかったのです。 そして二人は自…
伝聞昔話「放屁女又は藤大納言忠家物言う女放屁」 昔の話です。 藤大納言忠家が殿上人だったことです。 美しく色好みの女と語らっていました。 楽しく語らっているうちに、夜が更けて、月が昼よりも明るんできたころです。 口を吸おうか、頬を吸おうか、それ…
伝聞昔話「桃太郎」 お爺さんとお婆さんは夢を見ました。 「お前さんたちにとても強い子供を与えよう。その子供を桃の汁で育てるとよい」 何かが言っている夢でした。 お爺さんとお婆さんはずっと子供が欲しかったので、その夢を神様の夢と、とても喜んだの…
伝聞昔話「不犯の鐘又は源大納言雅俊一生不犯の鐘を打たせる」 昔の話です。 京極の源大納言雅俊という人がいました。 法事の時、仏前で鐘を一生不犯の者に打たせることにしたのです。 ある僧が礼盤に上がりました。